事業案内
食器屋として
『子どもたちとモノづくりの産地とをつなぐ役割』を果たす
日本の伝統工芸で培われた全国の産地の技術を、より多くの子どもたちの手に届くようにすることがわたしたちの役割です。
これからの食器選び~給食用食器の歩み~
コッペパンと鯨の竜田揚げと脱脂粉乳という献立が一般的だったため、そのような食器が使われていました。
1976年、米飯給食が正式に導入されたことにより献立が多様化していく中で、熱伝導の良いアルマイト食器は熱過ぎて手に持てず、先割れスプーンはこぼれやすく、顔を食器に近付けて食すことが問題視されていきます。
対策として1970年代終わりから1982年頃にかけてポリプロピレン食器が急速に普及していきます。
しかし当時のポリプロピレン食器の構成はランチ皿と椀だったため、ランチ皿の形状は手に持つことが出来ず、犬食いの問題は完全に解決されませんでした。
また、1999年にポリプロピレン食器に添加剤として使用されている酸化防止剤BHTが溶出したため大きな社会問題となります。
加えて、着色のしやすさ、表面の傷つきやすさ、油吸着が良く油汚れが残りやすい、耐熱温度が低いため保管庫の設定温度を低くすることで衛生管理に不安が残る、等のことから次第に新規導入は減っていきます。
1980年代後半にはメラミン食器も普及していました。
発色の良い絵付けが可能で、陶器に似た光沢ある質感と重量感、保温性、また食器全体が非常に硬く表面に傷が付きにくい材質です。
しかし原料に含まれる発がん性の疑いのあるホルムアルデヒドが問題視されます。
ホルムアルデヒドは特定の食品中にも含まれているため医学的見地からは無害とされていますが、安全が前提の学校給食においては次第に新規導入は減っていきます。
続いてポリカーボネート食器の使用も広まりました。
ところがポリカーボネートも原料の一部のビスフェノールAという環境ホルモンとされる内分泌かく乱物質の溶出が問題視されます。
これらのプラスチック食器は石油を原料とした化学製品なので、酸化防止剤や添加剤、原料からの溶出問題に対して、現在では各種食品衛生法に基づく試験により安全の担保が必要とされます。
原料に有害物質のないことを証明する材質試験、原料に使用される物質が溶出しないことを証明する溶出試験が主な規格です。
最近では、耐熱ABS食器やPEN食器などの新しいプラスチック食器も普及しています。
そして、日本の工芸の技術で作られる自然原料の強化磁器食器も多く使用されるようになっています。
ただし強化磁器食器にも破損による危険性やコストの負担、重さによる作業性効率の悪さなど、デメリットが指摘されることも多いです。
非常に多くの食器がある現代、使う人の立場になって、それぞれの材質の特性を踏まえて食器を選定する時代になってきたのかもしれません。